ブリー・ド・モー
チーズの王様と称される白カビチーズ
味の特徴
コクと酸味、キノコを感じさせる複雑な味
フランス産
牛乳
赤ワイン
スパークリング
チーズサイズの目安
チーズサイズの目安
水分量などがチーズによって異なりますので大きさは前後いたします。
原材料:
生乳、食塩
フランスで最も古いチーズのひとつで、名前は産地であるブリー地方モー村に由来します。
歴史は古く、ブリーチーズの製法がノルマンディー地方のカマンベール村に伝わってカマンベールが造られたとも言われています。
774年にはかのシャルルマーニュ(カール大帝)も称賛したと伝えられています。
16世紀のヴァロワ王朝の宮廷では最高のおやつとして愛され、
フランス革命でルイ16世が国外逃亡をはかった時、側近達が先を急ぐようせかしたにもかかわらず、食いしん坊の王がブリー・ド・モーと赤ワインを堪能したために捕らえられたそうです。そしてルイ16世はギロチンにかけられる前にもブリー・ド・モーを所望したというエピソードも残っています。
またブリー・ド・モーが世界的な名声を手に入れたのは、1814年欧州諸国の首脳が集まったウィーン会議の余興で行われたチーズコンテストでした。
そこでブリー・ド・モーは50以上あるチーズの中から満場一致で「チーズの王様」に選ばれました。
日本ではまだカマンベールの方が白カビとして知名度がありますが、パリではカマンベールよりも人気があるとも言われています。
また最近はスーパーなどでもブリーチーズを見かけますが、「ブリー」と「ブリー・ド・モー」は違います。
単に「ブリー」と表記されたものは、原料乳が無殺菌乳ではなかったり工場でより緩い条件で作られています。よく言えばクセがなく食べやすいチーズですが、ブリー・ド・モーよりも風味が軽くさっぱりしていて味わいは大きく異なります。
ブリー・ド・モーは、フランスのパリから東に50キロのイル・ド・フランス地方で主につくられ、ミルクは無殺菌の牛乳を使い、丁寧に手作業でつくられています。
AOCに登録されているチーズで、この「ブリー・ド・モー」という名前を名乗るには上記以外にも厳しい規定をクリアしなければいけません。
また、ブリーチーズにはモー以外に有名なチーズが2種類あり、ブリー3兄弟とも言われます。
一番大きな長男がブリー・ド・モーです。直径が約35センチ、重さは約2.5キロと、白カビチーズとしては極めて大きいチーズです。
中型サイズの次男が「ブリー・ド・ムラン」です。
直径約24センチ、重さ約1.5キロで「ブリー・ド・モー」より小型で、外皮の白カビには茶褐色の凹凸模様も見られます。味わいは白カビチーズにしては個性が強く、中身はねっとりしていて匂いも独特です。
三男が小型で一番マイルドな「クロミエ」です。
クロミエとはブリー地方の町の名前で、直径約13センチ、重さは約500g。厚みが3センチほどあるので、中身はたっぷりあります。表皮の白カビはうっすらとしていますが、熟成すると風味は強くなり濃厚な味わいになります。
同じブリー地方の名産白カビチーズですが、それぞれ個性があります。
ブリー・ド・モーの味わいは、上品かつ繊細でクリーミーです。
無殺菌乳ならではのマッシュルームや土など雨上がりの森を歩いているときのような複雑な香りがあります。
ブリーは熟成の状態によって味わいが変化し、若めのものは比較的クセが少ないです。
熟成が進むと表皮の白カビが薄くなり生地はトロリと柔らかく、表皮は茶色の面が多くなり、アンモニアなどの香りや塩味も強くなってきます。
酸味の余韻と複雑味が赤ワインと合わさると、これがマリアージュと納得させられるほど相性が良いです。
赤ワインは幅広く合いますが、なるべく渋みが強すぎないワインの方がブリーのクリーミーさを壊さないのでおすすめです。
フランス産のコートデュローヌやボルドー(メルロー主体)のミディアムボディが合います。
農家製ブリー・ド・モーを手掛けるロートシルト社のシャンパーニュもおすすめです。
シャンパーニュの中でもすっきり繊細かつバランスの良い王道シャンパンで贅沢な組み合わせです。